水引
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年9月17日 (月) 12:49時点におけるSeishimaru (トーク | 投稿記録)による版
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みずひき/水引
一
紙縒(和紙を幅狭く切って指で縒ったもの)を糊水を引いて乾かして固めたもの。進物するときに白い和紙で包み、その上に結ぶ飾り紐。数条を合わせて、中央で染め分けしたもので、祝事と凶事で結び方と配色も使い分けしている。祝儀には金銀・赤白、不祝儀には黒白・黄白・双銀などを用いる。浄土宗の伝巻には紺赤を用いている。向かって右に赤(金・黒)、左に白・銀(薄い色目)にして、白・銀の方を常にかぶせるように結ぶ。婚礼を除く慶事には「蝶結び」(もろわな結び)を用い、二度とないようにとの意味を込めて結び切りの「ま結び」・「淡路結び」にし、婚礼・快気祝い・見舞いと不祝儀で色分けをしている。この他にも洒水器の塗香器・浄水器、水瓶、散杖などに装飾として用いることがある。
【執筆者:渡辺裕章】
二
内外陣を区切る欄間などに懸けられた横長の金襴の布製の荘厳具。卓囲ともいう。この水引と共に、内陣柱に同じ布で作られた柱巻をし、コの字形にして装飾されることが多い。『無量寿経』下の「繒を懸けて」(聖典一・二五〇/浄全一・一九)とあるのは水引のことである。図柄には竜や天人・鳳凰・瑞雲などをあしらったものが多く見られる。また、定紋を附した水引もある。水引という名の由来は、防火・災難除けなどの俗称であるともいう。なお真宗では、前机に垂らす金襴で作られた三角形の荘厳具を水引(卓囲)とよぶが、浄土宗では長方形で、これを打敷とよんでいる。
【参考】石上善應他監修『浄土宗荘厳全書』(四季社、一九九六)
【参照項目】➡打敷
【執筆者:陣川隆行】