打敷
提供: 新纂浄土宗大辞典
うちしき/打敷
仏前の卓上に掛ける布製の荘厳具。卓袱とも書く。上卓や大前机に敷き、前面に垂らして仏前を荘厳するもの。金襴や錦で作るが、生地によって夏用と冬用を区別することもある。前机や上卓の彫刻が華麗な場合には、打敷を用いない。また常用のものと特別行事用とに区別する寺院もある。『菩提場荘厳陀羅尼経』には種々の天の妙衣服を以て師子座に敷くといい(正蔵一九・六七一上)、『過去現在因果経』一には善慧仏が濁湿の地に皮衣を敷いて如来の通路としたことが見え(正蔵三・六二二中)、『無量寿経』上には「衆宝の妙衣をもって、徧くその地に布けり」(聖典一・二四六/浄全一・一八)、『往生礼讃』の晨朝礼讃偈には「道を満てて鮮衣を布く」(浄全四・三六八上)とある。本来は如来の座や通行用であったものが次第に荘厳具として取り入れられた。故人の着物・帯で袈裟・幡・打敷に仕立て、追善供養のために菩提寺に寄進することもある。他宗では三角形のものを用いることもあるが、浄土宗では四角形の打敷を用いている。
【参考】石上善應他監修『浄土宗荘厳全書』(四季社、一九九六)
【参照項目】➡水引二
【執筆者:清水秀浩】