聞名往生
提供: 新纂浄土宗大辞典
もんみょうおうじょう/聞名往生
阿弥陀仏の名号を聞くことによって往生すること。『無量寿経』の第十七、十八願、『大阿弥陀経』の第四、五願、『平等覚経』の第十七願など、願文を中心として無量寿仏の名号を聞くことによる功徳に関して様々な説がみられる。とくに『無量寿経』の第十七願と第十八願の願成就文とされる箇所に「あらゆる衆生、その名号を聞きて、信心歓喜して、乃至一念、至心に回向して、かの国に生ぜんと願ずれば、すなわち往生を得て、不退転に住す」(聖典一・二四九/浄全一・一九)、あるいは「その仏の本願の力、名を聞きて往生せんと欲すれば、皆悉くかの国に到って、自ずから不退転に到る」(聖典一・二五三/浄全一・二一)とあるのが聞名往生の根拠となる内容であろう。道光『無量寿経鈔』では、後者の引文を注釈して「今、聞名を挙げて称念を摂す。例せば下品中生の聞名の如し…言う所の不退とは摂凡に約さば処不退なり、摂聖に約さば位不退なり」(浄全一四・一七二上)と述べ、凡夫の場合は西方浄土のはたらきによる処不退であり、聖人の場合は自業力による位不退としている。また、『観経』下品上生にも「仏名・法名を聞き、および僧名を聞くことを得、三宝の名を聞きて、すなわち往生を得」(聖典一・三一一/浄全一・四九)とある。
【執筆者:工藤量導】