「開山忌」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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かいさんき/開山忌
寺院を開創した僧の忌日の法要を開山忌といい、広義には関連行事の総体をさす。開山僧の追善とその徳の顕彰を目的とし、法要や諸行事を行う。開山忌の法要は、年中行事として毎年開山僧の祥月命日を期して行うのが本来であり、五〇年ごとに大規模な遠忌を催すことも多い。浄土宗では宗祖法然の忌日法要を御忌または御忌会と称しているが、法然を開山とする知恩院をはじめとする各本山等では開山忌にあたる。開山忌法会は中国に始まり禅とともに日本に伝えられたとされ、浄土宗でも各寺で行われていた。増上寺では宝暦七年(一七五七)の『年中定規便覧』七月一八日の項に「開山忌御法会」、天保一〇年(一八三九)の『年中常規』には「開山御忌御法会」とあり年中行事として行われていた(『増上寺史料集』二、一二六・二九九頁、増上寺、一九八二)。『筑後善導寺志』に「開山忌は二月二七日より二九日に至る各三日間毎年これを執行す…開山忌の中日には門前薬師堂より開山の尊像を霊輿に乗せ天童数十前後を擁し前警後衛これに扈従し以て盛大なる庭儀を執行す」(浄全二〇・四五六下)とあり盛儀がうかがえる。太田大光院でも文久二年(一八六二)の『日鑑』に開山忌用に「小御影三万枚…御鬮壱万枚」等を用意したとあり、信者が群参し参籠のもの夥しいとある(『大光院日鑑 太田市史 史料編近世二』太田市、一九七九)。現今では、久留米善導寺(開山聖光)では三月二七日から二九日に古式にのっとり庭儀式(お下り・お上り)等の諸行事が営まれ、鎌倉光明寺(開山良忠)では七月六日に行われている。太田大光院(開山吞龍)では九月七日から九日に執行され稚児礼讃舞の奉納等があり、また各地の寺院でも行われている。平成元年(一九八九)の『第四回浄土宗宗勢調査結果報告書』には宗内の開山忌奉修率は五・六%とある。式次第は『浄土宗法要集』に差定と宣疏があり、『図説浄土宗の法式』には新旧の比較等があり詳しい。また『浄土苾蒭宝庫』には「当寺開山忌回向」(下・七九オ)の文がある。
【参考】福西賢兆監修『図説浄土宗の法式』二(斎々坊、一九九一)
【参照項目】➡開山
【執筆者:鈴木霊俊】