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「図像抄」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:27時点における最新版

ずぞうしょう/図像抄

一〇巻。『尊容抄』『恵什えじゅう抄』とも呼ばれ、全一〇巻で構成されることから『十巻抄』ともいう。京都仁和寺の恵什(一二世紀頃、生没年不明)撰。日本最初の仏教図像集。真言密教に伝わる諸尊の修法次第を記し、一四二におよぶ尊像・曼荼羅を収録している。その内容は、諸尊を仏部・経法部・菩薩部・観音部・忿怒ふんぬ明王)部・天部の六部に分類し、各尊または経法の梵号・密号・種子三昧耶形さんまやぎょう(仏・菩薩象徴する仏具)・形像ぎょうぞう道場観・印相真言などを記して図像を付したものである。本書の構成や図像は、後に編纂される各種の図像集にも受け継がれた。特に心覚(一一一七—一一八〇)の『別尊雑記べっそんざっき』(正蔵図像三)や覚禅(一一四三—)の『覚禅鈔かくぜんしょう』(正蔵図像四・五)には本書の抄録や引用がみられる。現存する最古の写本は、京都・醍醐寺本(国重要文化財、一一九三)である。このほか、高野山円通寺本(国重要文化財、正蔵図像三)や奈良・宝山寺本(仏全別巻)などが知られる。また昭和六三年(一九八八)一二月、『図像抄—石山寺所蔵十巻抄』が法蔵館より刊行されている。


【所収】正蔵図像三、仏全別巻


【執筆者:宮入良光】