「閼伽」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年9月17日 (月) 00:19時点における最新版
あか/閼伽
本尊または墓前に供える浄水。Ⓢarghaの音写。功徳水と訳す。阿伽とも書き、阿伽水、阿伽の水ともいう。閼伽は、塗香・華鬘・焼香・飯食・灯明と共に本尊に献供する六種供養の一つ。観随『蓮門六時勤行式』には、「香華灯燭阿伽茶湯は時剋を論ぜず供すべし。阿伽は井花水(朝最初に汲むを云)を善とす」(四ウ、安政四年〔一八五七〕)とあり、元日・春分の朝に汲む若水はこれにあたる。知恩院の修正会では、円山境内吉水の若水(安養寺・慈鎮和尚阿伽の水)を汲み、仏前および開祖御影像前等に御茶湯を献じていた(『知恩院史』五五六)。『渓嵐拾葉集』二二には、閼伽は霊地の水、明星東下の地を用いるべきものとしている(正蔵七六・五七二下)。『倭名類聚鈔』には、「雑香を蒸煮して、その汁を以て仏に供養する」とあり、香を煮出した香水をいう。閼伽を汲む専用の井戸を閼伽井といい、東大寺二月堂の若狭井が有名。この閼伽井の建物、または閼伽棚のための一室を閼伽井屋といい、當麻寺曼陀羅堂には屋根が片流で木瓦葺の閼伽棚(閼伽井屋)がある。閼伽を汲む桶を閼伽桶といい、これから転じて墓参用の桶をもいう。閼伽棚は仏前に供える浄水や花と仏具等を載せる棚。また閼伽を入れておく容器、転じて仏前に供養する器具一般を閼伽の具という。閼伽を盛る器を閼伽器(六器の一つ)といい、その閼伽の水に浮かべた花を閼伽の花という。石塔の水鉢に花を浮かばせる作法はこれによる。
【資料】『渓嵐拾葉集』『方丈記』、『源氏物語』幻
【執筆者:西城宗隆】