殿司
提供: 新纂浄土宗大辞典
でんす/殿司
道場の荘厳・供具などを整備する役職者。『瑩山和尚清規』上には、「殿司の人、仏殿或いは三門に就き、道場を荘厳し、供具を弁備して、行者をして住持及び用僧に報ぜしむ」(正蔵八二・四三三下)とあり、仏殿のことを司る役職の名であった。増上寺『御忌法要行儀次第』には、会奉行・会行事のもとに、香華灯燭・百味供養・本堂の内外の荘厳・法事の整備などを行うとある。法要前には本堂内外の荘厳・供養物はじめ法要に用いる法具などを準備し、荘厳を確認してから法鼓・喚鐘を打ち、法要中は式進行の円滑を図ることを心がけて咄嗟の出来事にも対応できる法式を熟知している僧が香衣・大五条などを被着して勤める。宝暦一一年(一七六一)の徳川家重の新葬には、内陣殿司一〇人・殿司四八人が出仕したとある(増上寺所蔵『幹事便覧』七・二一四)。
【参照項目】➡座検
【執筆者:西城宗隆】