図像学
提供: 新纂浄土宗大辞典
ずぞうがく/図像学
図像学は元来キリスト教美術において、その図像に関して記述を行い、またその図像を社会背景と繫げて解釈する学問として隆盛し、イコノグラフィーまたはイコノロジーと称される。図像に即してその形や色を記述しつつその意味内容を追究する学問をイコノグラフィー、それらによって表現されている意味内容(主題や象徴など)を歴史的・社会的・文化的背景との関わりにおいて解き明かそうとする学問をイコノロジー(図像解釈学)と称しているが、元来イコノグラフィーとイコノロジーは意味合いも異なり、図像学と一括するには限界がある名称でもある。仏教美術研究においては、密教の世界で仏像や仏画における仏・菩薩や天部・明王・高僧などの姿・形・印相などを写した図像を収集したことが、図像研究の端緒といえる。つまり、平安時代後期の成立といわれる『図像抄』(『十巻抄』)を皮切りに、『別尊雑記』『覚禅鈔』『阿娑縛抄』などが編纂され、修法の次第と併せて収録された図像集がその研究の一助となるものである。
【参照項目】➡図像抄
【執筆者:多川文彦】