入唐求法巡礼行記
提供: 新纂浄土宗大辞典
にっとうぐほうじゅんれいこうき/入唐求法巡礼行記
四巻。円仁述。最後の遣唐使に帯同した円仁による旅行記。承和五年(八三八)から同一四年に至る九年間を日記体で記した求法体験記録。武宗による会昌の廃仏をはじめとする晩唐の仏教事情に加え、当時の社会風習にも言及されている。本書には長安青龍寺などで密教の大法を受けたことや、五台山竹林寺にて法照の五会念仏を学んだ様子が描かれている。円仁はこの五会念仏を持ち帰り、例時作法や常行念仏を行った。東寺観智院旧蔵の兼胤による最古の写本(正応四年〔一二九一〕)が国宝に指定されている。
【所収】仏全一一三
【参考】小野勝年『入唐求法巡礼行記の研究』(法蔵館、一九八九)
【参照項目】➡円仁
【執筆者:石上壽應】