三日月の御影
提供: 新纂浄土宗大辞典
みかづきのみえい/三日月の御影
法然の御影の一つ。知恩院蔵。下から中央にかけて湧き上がるような雲中に、三日月の中に念珠をつまぐる法然の上半身を描いたものである。『翼賛』一〇に「或説に云く」として「建久二年の春、後白河法皇の勅によりて右京権大夫隆信、法然上人の真影をうつし奉り、又自身も一鋪図して恭敬し奉りぬ」と述べ、それは「有夜の夢に形像もなく只月輪のみありて傍に和歌あり、月影を雲の上にてうつしては西へ行べきしるべとも見よと見けるとなん」(浄全一六・二〇一上)とあり、隆信は夢醒めて後、法然の姿を描き、生涯法然を崇敬し拝したという。これを『翼賛』では「月影の御影」といっているが、三日月の中に姿が描かれているので、一般的には「三日月の御影」と称している。この御影は一月一八日の御忌定式に「祖師像」として掲げられる。なお、同様の御影は多く写されたようであるが、粟生光明寺にある光明寺本は、雲中の三日月の中に上半身ではなく、座像の法然を描いている。【図版】巻末付録
【参照項目】➡法然上人御影
【執筆者:成田俊治】