扶選択正輪通義
提供: 新纂浄土宗大辞典
ふせんちゃくしょうりんつうぎ/扶選択正輪通義
一巻。『浄土正輪集』ともいう。道光撰。元亨二年(一三二二)述作。明恵に対する反駁書。明恵の『摧邪輪』ならびに『摧邪輪荘厳記』を破した『新扶選択報恩集』に続いて成立した。『新扶選択報恩集』は「一に総じて祖師の徳行を扶け、二に別して選択の文義を扶く」(浄全八・五三三下)の二つの目的で述作するとあるのに対し、本書は「一には総じて吉水上人を誹謗する過を責む、二には別して光明大師に違背する過を責む」(浄全八・五七八上)とあり、明恵こそ善導の釈に背いていることを指摘している。主問題の撥去菩提心難と聖道譬群賊難のうち、第一難を論破すれば他はおのずから解消されるため、第一撥去菩提心難を中心に述べている。
【所収】浄全八
【参照項目】➡新扶選択報恩集
【執筆者:笠島崇信】