摧邪輪荘厳記
提供: 新纂浄土宗大辞典
ざいじゃりんしょうごんき/摧邪輪荘厳記
一巻。明恵撰。建暦三年(一二一三)成立。『選択集』を批判した『摧邪輪』(建暦二年〔一二一二〕撰)の内容を補うことを目的として撰述された。本書冒頭で『選択集』には大小合わせて一六種の過失(『摧邪輪』では一三種の過失を、『摧邪輪荘厳記』では三種の過失〔①摂取不捨の名義を謬解する過②念仏を以て本願と名づけて『観経』の説不説を謬解する過③十声十念の義を謬解する過〕を挙げる)があるとして、その一々の過名を示す。『摧邪輪』での「聖道門を以て群賊に譬える過失」(浄全八・六七五下)への言及はない。
【所収】浄全八、日蔵七四
【資料】喜海『明恵上人行状記』下(高山寺典籍文書綜合調査団編『明恵上人資料』一、東京大学出版会、一九七一)、山本勇夫編『高僧名著全集』九(平凡社、一九三一)
【参考】川瀬一馬編著『お茶の水図書館蔵新修成簣堂文庫善本書目』(お茶の水図書館、一九九二)、前川健一『明恵の思想史的研究—思想構造と諸実践の展開』(法蔵館、二〇一二)
【参照項目】➡摧邪輪
【執筆者:米澤実江子】