奠湯
提供: 新纂浄土宗大辞典
てんとう/奠湯
表葬式で脇導師が霊前に葛湯を供養する作法。起龕の次に行う。献湯の作法をしてから、起龕と同様に行う。四事供養の湯薬にあたる。中啓を持って起立し、導師の前に進み、導師に起龕師と同時に問訊する。祭壇正面に進み、机上に中啓を置き、焼香し合掌意念する。向かって右側の茶湯器を台ごと取り、香煙に薫じ、茶湯器の蓋を少し開けて、一打して蓋を閉じ、捧げ持って意念する。元の場所に供え、蓋を開けて右側に掛け置く。中啓を香煙に薫じる。右斜め(自席側)に三歩下がる。左手を金剛拳に結んで左腰にあて、中啓で一円相を描く。中啓を胸の前に斜めにして持ち、「奠湯の文」を唱える。中啓を襟に差し、低声で十念を称える。中啓を持ち、再び祭壇の正面に進み、中啓を机上に置いて、合掌意念する。中啓を持ち、導師の前に下がり、導師に問訊し、自席に戻る。奠湯の文例。「回向漸く功を為せば 西方の路稍通う 作麼生か 奠湯の一句 開神悦体 蕩除心垢」。「回向ようやく功為れば、西方の路やや通う」(晨朝礼讃、浄全四・三六八上)。「神を開き体を悦ばしめ、心垢を蕩除す」(『無量寿経』上、聖典一・二四三/[1]。
【参照項目】➡奠茶
【執筆者:渡辺俊雄】