阿弥陀仏のこと。世親『往生論』願生偈の冒頭に「世尊我れ一心に尽十方無礙光如来に帰命したてまつり安楽国に生ぜんと願ず」(聖典一・三五三/浄全一・一九二)とある。阿弥陀仏の光明が十方を照らすに妨げがないことを讃えた呼称。曇鸞『往生論註』上には「無礙光如来の光明無量にして十方の国土を照らすに障礙する所なし」(浄全一・二二一上)とある。善導は『往生論』の偈頌を『往生礼讃』の「後夜礼讃」に引用している。
【執筆者:石川琢道】