精霊棚
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:25時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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しょうりょうだな/精霊棚
お盆に死者の霊(先祖・新仏・無縁仏)を祀るために臨時に作られる祭壇のこと。盆棚ともいう。棚の形式、設ける場所、飾り付けは地方によって差異があり、また家によっても異なる。全国的に広く見られる形式としては、木などによって骨組をつくり中ほどに板を渡して棚を作り、そこに竹を立て縄を張り渡し、ほおずき、ささげ、杉葉、盆灯籠などを吊るす。そうめんやうどんを吊るす地方もある。このように精霊棚は立て置かれるものが多いが、天上から吊り下げられる形式のものもある。また臨時の棚を設けず、仏壇に飾り付けをし、前に置いた台に供物を並べる形式をとることも多い。棚には茣蓙やまこもの莚を敷き、位牌、掛け軸などを仏壇から移し、花立、線香立、鈴などの仏具を並べ、野菜、果物、団子、そうめんなどを供える。また水を張った器に賽の目に刻んだナスやキュウリなどと洗米を入れたミズノコ、ナスとキュウリに割り箸などをさして牛と馬に見立てたもの、水向けをするためのミソハギが供えられる。新仏の盆の場合には、先祖とは別に棚が設けられ、盆提灯が飾られることもある。庭先に高灯籠が立てられる地方もある。新仏のために設けられる棚の場所は、屋外やそれに近い縁側等に設けられることが西日本を中心として多く見られる。また無縁仏のための棚が屋外やそれに近い縁側等に設けられる例や、棚を設けずに先祖のための棚の下などに供物を置くだけの所もある。
【参考】伊藤唯眞『仏教と民俗宗教』(国書刊行会、一九八四)、高谷重夫『盆行事の民俗学的研究』(岩田書院、一九九五)、田中久夫「盂蘭盆会と無縁仏」(伊藤唯眞編『仏教民俗学大系六 仏教年中行事』名著出版、一九八六)
【執筆者:名和清隆】