精霊流し
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうりょうながし/精霊流し
盆に迎えた精霊を、供え終えた供物などとともに川や海に流して送る風習。精霊を送る場所には墓地、道の辻、田の畔、山中などがあるが、川、海に送る風習も全国に広く見られ、墓地や山中などで精霊を迎える地域でも、川や海に送る場合がある。精霊棚に供え終えた供物や馬と牛に見立てたキュウリやナスなどを茣蓙に包んで流すが、飾った提灯や竹などを一緒に流す地域も見られる。船を作り供物を乗せて流したり、新盆の家が共同で精霊船を作り送る地域もある。多くの観光客が集まる長崎の「精霊流し」では、新仏のために趣向を凝らした船を作り、爆竹を鳴らしながら街中を、船を曳いて練り歩く。火を灯した灯籠を流し精霊を送る場合には、灯籠流しと呼ばれる。なお海外の日系人社会でも精霊流し、灯籠流しを行っている例が見られ、ハワイオアフ島のハワイ浄土宗別院では西方丸と名付けられた精霊船が作られ、ハレイワ浄土院では境内前の海岸で灯籠流しが行われる。
【参考】藤井正雄『お盆のお経 仏説盂蘭盆経』(講談社、一九八七)、喜多村理子「盆と節供」(赤田光男他編『講座日本の民俗学六 時間の民俗』雄山閣、一九九八)
【執筆者:名和清隆】