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別院

提供: 新纂浄土宗大辞典

べついん/別院

本寺とは別の土地に存在する寺院のこと。説教所を意味することもある。九~一〇世紀にかけての、真言天台宗に見られる寺院形態がその始まりである。当初、別院は国家の承認を得て開かれ、両宗の地方展開に大きく貢献した制度であった。その関係は、本寺別院の人事権を掌握することで成立している。時代を経るにつれて、別院よりも末寺化する寺院が増えると、本別関係から本末関係へと寺院運営形態が変化していった。また、開拓地に開かれた寺院のことも別院と呼ぶ。明治時代以降、浄土宗は、ハワイ・朝鮮・中国・台湾などへと海外開教を開始するが、このころ知恩院別院が各地に建立されている。


【参考】高木豊『平安時代法華仏教史研究』(平安寺書店、一九七三)、『浄土宗布教伝道史』(浄土宗、一九九三)


【参照項目】➡説教所


【執筆者:東海林良昌】