威儀法
提供: 新纂浄土宗大辞典
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いぎほう/威儀法
威厳ある姿・形・動作を会得するための作法。僧侶たるものは、法会の行儀作法をはじめとして、日常の一挙手一投足などの立ち振る舞いの四威儀を常に正しくし、他の範となるべきことをいう。威儀法では、作相、座法、起立、合掌、拱手、礼拝、問訊、入堂、退堂、行道、登下高座、二畳台の昇降を規定し、法会の行儀作法を明らかにしている。また『法式教案』では、威儀法の相貌について、行儀・服相・形相の三相とし、厳粛・整正・如法であるべきと説いている。これらを遵守することを前提として、『法要集』の威儀法が規定されている。第一の行儀とは、世間一般の礼儀をはじめ、すべての行儀作法を遵守することにある。法要中には、右顧左眄(右を見たり左を見たりする)、睡眠、欠伸、搔く、扇ぐ、汗を拭く、鼻をかむ、私語、笑い声を出すなどのことは、みな慎むべきであり、非儀であるとしている。第二の服相とは、法服法に基づき被着することで、役配によっての衣体、諸法会によっての礼装略装、時期によっての夏冬衣などのように、その場に応じて被着すべきであるとしている。さらに、服相は尊厳を保つことが必要なため、清潔なものを整然として身に着けるべきであるとしている。第三の形相は、服相をいくら整えても、頭髪を整えず、爪を伸ばし、不潔であるような姿かたちで、形相が正しくなければ威容は保てない。仏前に進む時は、口をそそぎ、浄衣を着け、威儀を整え、塗香・触香して入堂すべきであると説いている(堀井慶雅『法式教案』昭和一三年〔一九三八〕)。このような威儀法について知恩院では、「指南」という役職者がいて、御忌大会の習礼の時に威儀をはじめ諷誦の音声を指導している。増上寺では、教授師に次ぐ威儀師がいて、御忌大会などの声明・威儀などを指導している。『大本山増上寺本末規約』(昭和一二年〔一九三七〕更正)の「本山法式会規定」には、本会に講師幹事評議員を若干置くとして、「講師は威儀師、教授師の二種とし教務を分担す」とあった。
【資料】世阿弥『風姿花伝』、『枕草子』一五六
【参考】『法要集』
【執筆者:西城宗隆】