斎日
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:24時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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さいにち/斎日
斎を行うべき日のこと。「さいじつ」ともいう。『起世経』に「一一月中に六烏晡沙他あり」(正蔵一・三四六下)と言われるように、月に六日の烏晡沙他(六斎日)がある。烏晡沙他はⓈupoṣadhaⓅuposathaの音写で布薩とも音訳され、斎と漢訳される。六斎日とは八斎戒を行う六日をいい、半月に八日、一四日、一五日の三受斎日があり、ひと月に八日、一四日、一五日、二三日、二九日、三〇日の六日となる。『起世経』(正蔵一・三四七中)、『四天王経』(正蔵一五・一一八中)等によると、八日と二三日には四天王の使者、一四日と二九日には太子、一五日と三〇日には四天王自らが世間に下りて人の善悪を観察するという。在家の人が八斎戒を守り、心身清浄にして精進潔斎をし、一五日、三〇日には出家が布薩を行い説戒する。斎法を受持すれば度世の道を得、三悪趣に堕ちず、常に福祐を得ることができ、八戒を受持する因縁により成仏に至ると説かれる。また『仏祖統紀』(正蔵四九・三六二中)によると『梵網経』(正蔵二四・一〇〇七中)等に基づく三長斎月や『地蔵菩薩本願経』(正蔵一三・七八三中~下)に基づく十斎日が盛んとなり、唐の武徳二年(六一九)には仏制という理由によって、該当する期日においての処刑などが禁止されている。このように斎日には諸天や鬼神などが人々の善悪業を観察記録するとの説に基づき、人々は斎日には精進潔斎し、懺悔(悔過)の法要や祈禱の法要等を行い、日待、月待の行事も行われた。
【参考】龍牙興雲『持宝通覧』(教報社、一八九三)
【執筆者:大澤亮我】