安陀会
提供: 新纂浄土宗大辞典
あんだえ/安陀会
五条袈裟の異称。ⓈⓅantaravāsakaの音写で、安多衛、安陀羅跋薩とも音写する。三衣のひとつで、日常の作業や就寝のときに着用する普段着的な衣。三衣の中で最も小さいので小衣ともいう。また下着に相当するので下衣、内衣、中著衣ともいい、院内にいるときに着用するので中宿衣、托鉢・作務・掃除のときに着用するので道行雑作衣とも呼ばれる。条数は横幅五条、竪の作りは一長一短からなる。これは『十誦律』や『根本有部律』の伝承を受けたもので、「パーリ律」では三衣すべてが五条に作られている(阿部慈園『インド仏教文化入門』一二九頁、東京書籍、一九八九)。『法要集』に「法要には、七条以上を被着するのが本義である」と説くように、公式な場所では安陀会は許されなかった。『法要集』には、安陀会(顕色および壊色)の変形として、大師五条、大五条、小五条(威儀細)、折五条があり、別に種子衣(伝道袈裟)がある。『法要集』(昭和一四年版)には廬山衣が記されていたが、現在では用いない。
【執筆者:羽田芳隆】