教化
提供: 新纂浄土宗大辞典
きょうけ/教化
一
衆生を教え導き利益すること。「きょうか」とも読む。Ⓢparipākaの意訳。『無量寿経』上に「世に興出して、無量の衆生を教化し度脱して、皆、得道せしめ」(聖典一・二一九/浄全一・四)などとあるように、衆生を苦しみから解き放ち、仏道を増進させることをいう。悪人を善導したり、無信のものに信をおこさせたりすることもいう。また現在は宗教的教育を施すこともいう。
【執筆者:石上壽應】
二
仏・菩薩や経典・法会の功徳を和文で唱え、聴衆を教化することを目的とした声明曲。斉衡元年(八五四)の天台大師御影供始修において円仁が最初に作ったとされている。それ以降、宮中で行われた法要でも梵漢の声明を唱えた後、それを解きあらわす和文の教化が唱えられ、聴く者の期待にこたえた。これが和語の声明の起源となり、和讃、講式、表白、祭文、諷誦、神分となった。『魚山六巻帖』には、「昔の大王は仙人のために千歳の給仕を致して、一乗の妙法をつたへ…」(『天台声明大成』金声堂、一九六八)とある。浄土宗では伝法然の『臨終行儀』(安政六年、古経堂蔵版)に教化文が付され、臨終行儀として教化を用いていたことが知られる(『浄土苾蒭宝庫』上・八三)が、現在は実唱されていない。
【執筆者:大澤亮我】