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観音授記経

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かんのんじゅききょう/観音授記経

一巻。具名を『観世音菩薩授記経』といい、『観音菩薩得大勢至菩薩授記経』ともいう。曇無竭どんむかつ訳。異訳に施護訳『如幻三摩地無量印法門経』があり、チベット語のⓉ’phags-pa sgyu-ma lta-bu’i ting-nge-’dsin shes-bya-ba theg-pa chen-po’i mdoがあり、そこにサンスクリットの経典名ⓈĀrya-māyopama-samādhi-nāma-mahāyāna-sūtraが付されているが、梵本は現存しない。観世音菩薩阿弥陀仏入滅後、その位処を補うことを説く経典で、この説示は『平等覚経』三や『大阿弥陀経』上、『悲華経』三などに示される主旨とも一致する。本経においては阿弥陀仏入滅した後、観音菩薩七宝菩提樹のもとで正覚して、普光功徳山王如来と号するという。浄土教においては、阿弥陀仏がはたして入滅するのか否かが、その仏格を決定するものとして論議された。浄影寺慧遠じょうようじえおん智顗等は入滅ありとしてその仏格を応身と判じて低位に見、道綽は『安楽集』上において、たとえ滅度を示すといっても、それは本来の滅度ではなく、一時的に姿を消す休息隠没くそくおんもつのことであって『宝性論』に示す報身の五種の相の一つであるとし、阿弥陀仏報身であって、法性随順の最高価値を有するものとしている。


【所収】正蔵一二


【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九七五)、齊藤舜健「『観世音菩薩授記経』所説の阿弥陀仏の入滅」(印仏研究四四—二、一九九六)


【参照項目】➡阿弥陀入滅


【執筆者:粂原恒久】