七宝
提供: 新纂浄土宗大辞典
しっぽう/七宝
七つの宝のこと。「しちほう」とも読む。経典中に説かれる七宝は二種に大別される。1転輪聖王が備える七つの財産。輪王七宝ともいわれる。すなわち車・象・馬・宝玉・女性・財宝に導くもの・兵士の七つ。転輪聖王が有するこれら七つは、どれも最高のものであり、転輪聖王の誕生とともに出現するといわれる。2七種類の宝玉。すなわち金(Ⓢsuvarṇa)・銀(Ⓢrūpya)・瑠璃(Ⓢvaiḍūrya)・頗瓈(水晶Ⓢsphaṭika)・硨磲(Ⓢmusāragalva)・赤珠(赤真珠Ⓢlohitamuktā)・瑪瑙(Ⓢaśmagarbha)の七つの宝のこと。ただし、その順序や訳語は一定ではない。『阿弥陀経』(聖典一・三一六/浄全一・五二)は上記の訳語と順序で挙げられるが『無量寿経』上には「金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・硨磲・碼碯」(聖典一・二三六/浄全一・一二)とあるほか、同経には七宝でできた樹として「金樹・銀樹・瑠璃樹・玻瓈樹・珊瑚樹・碼碯樹・硨磲樹」(聖典一・二三九/浄全一・一四)を挙げているように、同一の経典においても異なる訳語、順序を示すことが理解される。ただし極楽の様々な荘厳が七宝によって飾り立てられていることは『無量寿経』『観経』『阿弥陀経』の一致するところである。
【参照項目】➡七重宝樹
【執筆者:石田一裕】