回峰
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:21時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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かいほう/回峰
峰を回り行う修行のこと。回峰行ともいう。特に天台宗山門派の行者が比叡山の東塔、西塔、横川の三塔・九院・山王七社や山内霊地など約二六〇箇所を巡拝する千日回峰行が有名である。これは不動明王を本尊として、不動明王の真言を誦しながら巡拝し、七年かけて千日の行を完了する。五百日の行を修了して下根満、七百日の行を修了して中根満と呼ばれる。このころ、無動寺明王堂に参籠し、九日間断食・断水・断眠・不臥の行がおこなわれ、これを修了した者を行満と呼ぶ。その後、八百日まで比叡山と赤山明神をめぐり、九百日まで京都の仏閣を巡拝し、千日まで再び比叡山を山上山下し、大行満に達する。本行は、比叡山無動寺谷を開いた相応(八三一—九一八)が創始し、遍斅(九〇三—九七七)が組織づけたといわれている。創始当時は参籠が中心であったが、次第に三塔巡拝を中心とするものとなり、鎌倉末期から南北朝期にかけて現行のような比叡山の各所を巡拝するものに変化していった。
【参考】星宮智光「比叡山回峰行の成立とその形態」(『東北印度学宗教学会論集』二、一九六九)、小寺文頴「比叡山回峰行の史的展開」(日仏年報四五、一九八〇)
【執筆者:齋藤知明】