発願文
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほつがんもん/発願文
阿弥陀仏の浄土に往生したい、また衆生を救済したいと願う文。誓願や志をおこし、その成就を祈念して記す願文を広く「発願文」という場合もある。浄土宗において勤行等の際に用いられる「発願文」は、善導の『往生礼讃』日没礼讃偈の末尾(浄全四・三六〇上/正蔵四七・四四〇下)に記されている。善導が『仏名経』や智顗の『法華三昧懺儀』の浄土思想を根底とする五悔をもとに作り上げたと考えられ、「臨終正念」「聖衆来迎」「上品往生」などの往相回向と、「得六神通」「入十方界」「救摂苦衆生」などの還相回向をその内容とする。阿弥陀仏の本願力によって、来迎正念の後に浄土に往生して阿弥陀仏を見奉りて、六神通を得て、穢土に還って衆生を救おうというのが、浄土宗徒の発願するところである。
【執筆者:加藤芳樹】