不動明王
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:32時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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ふどうみょうおう/不動明王
明王の一つ。日本におけるその姿は一般的には青黒く、右手に剣、左手に索をもち、左肩に弁髪が乗り、牙が外面に出ている。ⓈĀrya acalanātha Mahā Vidyārāja。阿哩耶阿奢羅那多摩訶毘地耶羅惹、あるいは阿遮羅曩他と音写。不動使者、不動尊、不動主、無動尊、威怒不動金剛ともいう。不動に対応するⓈacalaはシヴァ神の異名でもあるが同一か否か定かでない。日本では空海が五大明王の一つとして請来したのが始めである。その後、貴族社会で五大明王法が現世利益のために盛んになり、不動明王護摩法が独立した。不動明王護摩法は息災法と増益法の二種類があり、主に安産、除病、延寿、調伏の利益のために修された。また、平安時代から不動明王の陀羅尼(呪)は臨終正念のために唱えられることとなり、相応(八三一—九一八)の頃から不動明王が天台系修験道の本尊となった。平安時代以降、庶民信仰に取り入れられ、説話文学に頻出する。中世には死者回向の十三仏の第一となり、江戸時代には、市川団十郎などの歌舞伎芝居によって、成田山新勝寺と不動明王信仰が大衆的になった。弘法大師様、もしくは神護寺様と呼ばれる型式や、安然がまとめた十九観様など諸相がある。
【参照項目】➡明王
【執筆者:カレン・マック】