撞初式
提供: 新纂浄土宗大辞典
つきぞめしき/撞初式
洪鐘を初めて撞く式のことで、洪鐘を新たに鋳造したとき、または鐘楼を新築したときに行う。『法要集』(昭和一四年版)は、鐘供養・鐘楼落慶式と称していたが、平成二年版の『法要集』で撞初式と改称した。この式は建築儀礼に準じて三部構成からなる。本堂で撞初式挙行の旨を奉告し、鐘楼にて四方洒水・散華、誦経中に周匝して洪鐘偈を唱えて撞き初めを修し、本堂で無事円成の奉告の回願を行う。その荘厳は鐘楼の柱の外側に葉竹をたてて四天王の幡をつけ、紅白の撚縄で結界する。長幡四流(青・黄・赤・白)に洪鐘偈を一句ずつ書き、適当な場所に立てる。鐘は白布で覆い、撞木には紅白の力綱をつける。撞き初めの式典とともに、この式に縁のある人が浄土に超生して法音を聴受し、浄業を増進して音響忍を得ることを念じる法会でもある。撞初式は歌舞伎などの「娘道成寺」の鐘供養から命名したものである。
【参照項目】➡洪鐘偈
【執筆者:西城宗隆】