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睡時十念

提供: 新纂浄土宗大辞典

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すいじじゅうねん/睡時十念

就寝前に西に向かい、この場所に阿弥陀仏が来現され、今こそ臨終と思って称える十遍の念仏結縁五重伝目で、安心相承の第八もしくは密室道場分第五、十念の伝の附伝(添口伝)などに位置する。枕上十念の伝、念死念仏の伝、臨終用心の伝などとも呼称される。隆円浄業信法訣』四では、「睡リヲ小死ト云」(『伝灯輯要』一〇四四)と記し、擬死と用心念仏を示唆し、妙瑞浄土三脈相承』下では、眠る前の念仏に続き眠りからさめた朝に十念を称え日課念仏の始めとすることを説く。また、眠る時の一息一息が念仏であるとする説や、睡時十念即身成仏と同義に置く説も存在していた。法然は「阿弥陀仏十声称えてまどろまん 永き眠りになりもこそすれ」(聖典四・四八九/昭法全八七九)と、睡眠中このまま命が終わることがあっても阿弥陀仏救済が確実であると詠む。睡時十念は、①眠りと目覚めによる擬死再生、②平生・睡眠中の念仏相続、③臨終行儀という重層的構造をもち、眠っているとき念仏できないから眠る前にするという考えと、眠っているときに念仏の効用が現れるとする考え、また眠っているときも念仏しているという意味付けなど重層的に睡眠を理解し、平生相続と臨終念仏との接点として形成された。


【参照項目】➡睡眠偈


【執筆者:神居文彰】