一巻。清・古崑(—一八九二)編。娑婆世界の苦から脱するため、念仏往生の浄土教をもって、自他を警いましめる書物である。浄土教は上・中・下根すべての群機を摂する解脱法であるとし、下根であっても阿弥陀仏の本願を信じれば往生ができるので、浄土教は諸方便の中で最も優れた法であり、かつ最も円頓な教えであると説く。そして、五濁悪世の衆生は、念仏法門以外に解脱の方法はないという。また、娑婆世界の苦に対して、極楽の清浄快楽を讃歎している。
【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)
【執筆者:肖越】