しゃば/娑婆
釈尊が教化する世界の名称。Ⓢsahāの音写。沙呵、娑呵、索訶とも音写する。精神的には煩悩から抜け出すことができず、外的には風雨や寒暑に対して耐え忍ぶ人々が生きるという意味で、忍土、堪忍界と意訳する。聖者が艱難に耐え忍びながら衆生を導くところであることから、釈尊を娑婆の教主と称する。また、世界の主として梵天を娑婆主(Ⓢsahāpati)と表現する。原語をⓈsabhā(集まり)とする説もあり、この場合は雑会とも訳され、またⓈsabhaya(恐怖を有する)から恐畏世界とも訳される。
【執筆者:南清隆】