けらく/快楽
煩悩から解放されて得られる安楽、また浄仏国土において得られる安楽のこと。『無量寿経』においては「すでに我が国に到らば、快楽安穏ならしめん」(聖典一・二二二/浄全一・五)とある。また別の箇所では「かの仏の国土は、清浄安穏にして微妙快楽なり」(聖典一・二四四/浄全一・一七)とあるように、極楽浄土の状態そのものを表す語でもある。一方、快楽と読んだ場合には、個々の人間が有する自然的な感覚における幸福のことを指す。ゆえに、快楽の内実は一義的ではなく、個々人にとって千差万別とならざるを得ない。
【執筆者:江島尚俊】