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観無量寿経融心解

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かんむりょうじゅきょうゆうしんげ/観無量寿経融心解

一巻。『観経融心解』『融心解』ともいう。宋・知礼撰。大中祥符七年(一〇一四)の作。『観経疏妙宗鈔』より七年前に撰述した本書は、その思想ほどには熟していなかったものの、知礼の『観経』に対する基本的な立場を知るには重要な資料である。全篇は十六観法について、質疑九箇条をあげて問答の形で論述され、天台教観に基づき一心において浄土を顕すべきことを説く。具体的には、①十六観は約行観十六観円教三観極楽同居土どうごどのみに非ず④弥陀三身を縁じて三観を修するのは浄土の行い⑤約心観仏三観疾く浄土の依正を顕す⑦像観以前に三観の意あり⑧依正の事と真如の理は一念に在り⑨一心三観を体とする妙観修行対象の九箇条である。本書は、ここに指摘した一心三観、一境三諦などの理観念仏のみを説き、称名念仏には一言も言及していない点は、後の『妙宗鈔』の成立に大きく関わる。


【所収】正蔵四六、続蔵二二、『四明尊者教行録』五


【参考】大野法道「四明知礼の著書解題」(『大正大学々報』一、一九二七)、安藤俊雄『天台学論集—止観と浄土』(平楽寺書店、一九七五)


【参照項目】➡観無量寿仏経疏妙宗鈔


【執筆者:林鳴宇】