弥陀名義
提供: 新纂浄土宗大辞典
みだみょうぎ/弥陀名義
阿弥陀仏の「阿弥陀」という名に具わる語義。源信の『阿弥陀経略記』によれば『阿弥陀経』における「舎利弗。汝が意において如何。かの仏を何が故ぞ阿弥陀と号したてまつる。舎利弗。かの仏の光明無量にして、十方の国を照らすに障礙する所なし。この故に号して阿弥陀とす。また舎利弗。かの仏の寿命、およびその人民、無量無辺阿僧祇劫なり。故に阿弥陀と名づけたてまつる。舎利弗。阿弥陀仏、成仏より已来、今において十劫なり」(聖典一・三一七~八/浄全一・五三)の章段が「弥陀名義を明かす」(正蔵五七・六七六下)とし、阿弥陀は一つの梵語であって、無量光と無量寿の二義が含まれるという。またこの二義には横竪の益があるとし、「無量光は横に物を利することを顕す。遍く十方を照らし衆生を摂するが故に。無量寿は竪に物を利することを顕す。無数劫を経ても衆生を利するが故に。二利常に円なり。故にこの名を得」(正蔵五七・六七六下)と論じ、阿弥陀仏の光明が空間において無量に衆生を摂し、その寿命が時間において無量に衆生を利するとし、時空両面における利益の無限性が阿弥陀という仏名の所以であるとする。
【執筆者:袖山榮輝】