「浄土法門源流章」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
じょうどほうもんげんるしょう/浄土法門源流章
一巻。『浄土法門源流』『浄土源流章』ともいう。凝然撰。応長元年(一三一一)成立。本書は、印度・震旦(中国)・日本にわたる浄土教の弘通次第について、はじめに「三経一論」の内容と弘伝を述べ、次に諸師の所説や伝承等を示す。日本においては、法然以前の流れとして智光・昌海・良源・源信・永観・実範・重誉・珍海・勝範等を略述し、このうち日本に浄土教を広めた最要なる人師は智光・昌海・源信・永観・実範・源空の六哲であるとする。次いで法然とその門下の所説とそれぞれの分流を示す。法然門下には、幸西の一念義・隆寛の多念義・証空の西山義・聖光の鎮西義・長西の九品寺流等を挙げて、「上来陳ぶる所、横竪の相承並に源空上人の門流・苗裔、略して少分を挙ぐ。備に列すべからず。或は華洛に在り、或は諸国に満つ。古来横竪見聞すること能わず、知及することを得ず」(浄全一五・六〇〇下)とし、法然門下の浄土教が広く諸国に伝搬していたことを述べ、また「近代已来、時に英哲有て浄土教を弘めて遐邇に流布す。未だ必ずしも源空の所立に依らず」(浄全一五・六〇一上)として、「出雲路住心」(天台)・「生駒良遍」(法相)・「木幡真空」(三論・真言)・「東大寺知足院悟阿」等の人師も、それぞれに浄土教を学び、弘通教化したことを示す。
【所収】浄全一五、『続群書類従』八輯下、『国訳一切経』(和漢撰述九二)史伝部二四
【執筆者:米澤実江子】