「後夜無常偈」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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ごやむじょうげ/後夜無常偈
『往生礼讃』の「無常偈」の一つ。後夜礼讃偈を終えるにあたり、この世のあらゆるものが無常であることを説く偈文。「時光遷流転 忽至五更初 無常念念至 恒与死王居 勧諸行道者 勤修至無余」(浄全四・三六〇下)。この偈文の典拠は、良忠によれば『菩薩蔵経』となっているが不明。三階教の典籍『七階仏名』に同様の偈がある。大意は、時節は刻々と移り変わっていき、たちまち真夜中のような命終の時を迎えてしまう。この世の無常が一瞬一瞬わが身に近づいてくるのは、まるで死王と同居しているようなものである。仏道を志す者よ、修行に精進して完全なる覚りの境地に至りなさいとの意。後夜礼讃偈の最後に維那が座したまま「諸衆等聴説後夜無常偈」と唱え、長跪して「無常偈」を独唱し、接足作礼する。
【資料】『往生礼讃私記』上(浄全四)
【参考】矢吹慶輝『三階教之研究』(岩波書店、一九二七)
【参照項目】➡後夜礼讃偈
【執筆者:石上壽應】