「四十八軽戒」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しじゅうはっきょうかい/四十八軽戒
『梵網経』に説かれる戒のうち、犯した場合、軽垢罪に相当する四八種の戒。重大な戒めに対して軽少な戒め。『梵網経』に説かれる戒には十重禁戒と四十八軽戒の二種があり、十重禁戒を犯した場合は波羅夷罪に相当するとする。これは重大な罪であり、出家者の場合、僧の資格を失い、教団から追放され、修行の成果も無に帰す。これに対し、四十八軽戒を犯した場合、智顗『菩薩戒経義疏』下によれば、罪を告白する対首懺悔により、その罪が滅せられるという(浄全一五・八六五上)。法蔵の『梵網経菩薩戒本疏』四には、諸仏が軽戒を制定した理由を「一には世間譏嫌を起さんことを護らんが為の故に。二には菩薩出世の道を光顕するが故に。三には微細の情塵悉く制断するが故に。四には三業を調伏し三毒を制するが故に。五には方便して遠く十重戒を護るが故に。六には菩薩の三聚戒を増長するが故に」(正蔵四〇・六三四中)と解する。また義寂の『菩薩戒本疏』下は、三聚戒と十重四十八軽戒との関係について言及し、十重は摂律義に収まり、「又四十八中、前三十戒多くは摂善となす。後十八戒多くは利生となすなり」(正蔵四〇・六七〇上)とし、四十八軽戒が摂善法戒と摂衆生戒に収まると解する。なお『梵網経』はその一々の戒について条目名を付さないが、智顗をはじめとする諸注釈書が、四八それぞれの条目名を付している。
【参考】石田瑞麿『仏典講座一四 梵網経』(大蔵出版、一九七一)
【執筆者:袖山榮輝】