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「祭文」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版

さいもん/祭文

仏教神道儒教等において祭祀の際に奏上する祈願の文。独得の節を付けて読む声明曲の一つで、古代は厳粛であったが、平安時代になると、山伏によって伝えられ、中世には娯楽的要素を加えた「もじり祭文」となり、神事や仏事が俗化し、その流れとともに芸能化したものとなった。江戸元禄期には上方において、世俗の恋愛心中物、追善物、巷間の話題をとり上げ、一種の「くどき」としたものが歌祭文である。これらが地方で盆踊歌となったのが祭文踊、祭文音頭で、瞽女ごぜ歌を松坂祭文という。後期には貝祭文(デロレン祭文)が誕生し、説経祭文、世話物浄瑠璃に大きな影響を与え、明治に入って浪花節、江州音頭と寄席芸となった。宗教・生活・娯楽を一体としている前近代構造の中で祭文教化唱導)としての祭文と、芸能としての祭文との区別がしにくくなるが、これは極めて自然な成り行きであった。『諸回向宝鑑』一には、「盆供祭文」として現行盂蘭盆会表白が掲載され、『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』上には、施餓鬼法に祭文現行宣疏)が掲載されている。


【執筆者:加藤善也】