麻衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
あさごろも/麻衣
麻布で作った衣。麻の粗末な着物。または、喪中に着る麻の着物。上代では白の麻衣を喪服として着用したが、中古以降の和歌には麻布で作った喪服を藤衣といい、僧衣を麻衣と称した例が見られる。麻は近年高価なものとなったが、元来安価なもので喪服に使用するという認識がある。僧侶の葬儀・年回法要のときには、遺弟法類等が麻の黒衣・如法衣を被着することがある。特に、遷化した僧侶に被着させる壊色の麻の法衣を往生衣といい、自らが用意しておくものという。『山門通規』二には、「一番輪以下借寮の面々は、内衣は木綿服、法衣は布細美を常衣と致すべし」(享保一九年〔一七三四〕、『増上寺史料集』三・一〇五)とあるが、この「細美」は麻のことである。
【執筆者:西城宗隆】