往生衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
おうじょうえ/往生衣
新亡に着せる衣。特に葬儀にあたって亡僧に着せる衣体をいう。涅槃衣ともいう。亡僧には白衣、黒衣(直綴)をつけるが、袈裟をつけるかどうかについては賛否両論がある。『仏祖統紀』三三には亡僧を火葬にするとき袈裟を掛けるのは焼衣違律の過(正蔵四九・三二四上)とする。これに関通と大日比三師等は従い、板倉貫瑞も『蓮門小子の枝折』に「袈裟を掛けて納棺するのを見るが是れ違法なり」(一六一頁)とする。一方、貞極は袈裟をつけて火葬するという立場をとり、宍戸寿栄もこれに従い、宍戸栄雄の『一隅 能化の葬儀式』には「白衣往生衣などを平常通りに被着し日課念珠をもたす」(往生衣=法衣と袈裟)とし、現在、浄土宗では後者の立場をとっている。
【資料】『四休菴貞極全集』下、『大日比三師講説集』中
【参考】福西賢兆『図説浄土宗の法式』三(斎々坊、一九九二)、須賀隆賢『引導下炬集』(隆文館、一九八九)、吉水融我編述『浄土宗便覧』(仏教公論社、一八九三)
【執筆者:大澤亮我】