順観・逆観
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅんかん・ぎゃくかん/順観・逆観
理法や仏陀の身相などの対象を、定められた順序で観察することを順観、それを反対に行うことを逆観という。仏陀の開悟の過程を示す十二因縁の教えでは、迷いの生起を「無明に縁って行あり、行に縁って識あり」と進む流転門を順観、「無明なきに縁って行なく、行なきに縁って識なし」と逆に進む還滅門を逆観という。また仏陀にそなわったすぐれた身体的特徴である三十二相を観察する場合、足裏に見られる足下安平立相などの諸相から頭部の白毛相などの諸相へ順次に行うのを順観、その反対に頭部から足下に至るのを逆観という。これは諸経論に説かれる三十二相の配列の統計に準じた見方でもある。ただし観仏や観像の修行法を主題とする『観仏三昧海経』には頭頂より足下に至るのを順観、その逆を逆観と呼び、順逆一六回を反復せよと説く。『往生要集』中(浄全一五・八三/正蔵八四・五五中)の観察門には善導の『観念法門』による白毫観修習の心得を説き、法然も『逆修説法』(昭法全二五六、二九八)にこれを引いている。
【参考】高田修『仏像の起源』(岩波書店、一九六七)、岡田行弘「三十二大人相の系統Ⅰ」(印仏研究三八—一、一九八九)
【執筆者:大南龍昇】