諸仏証誠
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょぶつしょうじょう/諸仏証誠
如来の教説に間違いがないことを他の諸仏が証明すること。『阿弥陀経』後半部では、六方(『称讃浄土経』では十方)の諸仏が、阿弥陀仏の功徳力による衆生の念仏往生を証明している。これについて善導は『観経疏』定善義において「十方恒沙の諸仏、不虚を証誠したまう」(聖典二・二七三/浄全二・四九上)と述べている。法然は『阿弥陀経釈』(昭法全一三八)において六方諸仏の証明は念仏往生に疑惑不信をいだく衆生のためになされたものであると示している。『選択集』では独立した一章(第一四章)を設け、善導の各著述を引き「もし善導の意に依れば、念仏はこれ弥陀の本願なり。故にこれを証誠す。余行は爾らず、故にこれ無し」(聖典三・一七九/浄全七・六六上)と結論づけている。また三部経の中でも余行を並説する『無量寿経』『観経』には証誠の言葉が見られないことに関して、『阿弥陀経』が純一に念仏往生のみを説くからであるとの見方と、言葉は出ないが念仏の教えは三経一体であるから三部経すべてに証誠の義が隠在するとの見方の二義を示している。
【参考】坪井俊映『浄土三部経概説』(法蔵館、一九九六)、石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九五九)
【参照項目】➡証誠
【執筆者:渋谷康悦】