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秘密念仏鈔

提供: 新纂浄土宗大辞典

ひみつねんぶつしょう/秘密念仏鈔

三巻。道範(一一七八—一二五二)述。成立年代未詳。天台教学や実範じっぱん覚鑁かくばんの影響を受けて、浄土教真言密教の視点から再構築した書。静遍じょうへんの説を弟子の道範が記した『秘蔵記鈔』に出る三重の阿弥陀説—法蔵比丘成仏した阿弥陀仏五智五仏の一つで妙観察智の阿弥陀仏、華蔵即極楽、大日即阿弥陀である阿弥陀仏—を承けて、衆生の色心本来清浄である阿弥陀仏を加えた四重の阿弥陀秘釈を説く。文義釈として阿弥陀の各文字に三諦・三部・三身・三点・三密など、南無阿弥陀仏の六字に五仏・五方・五智五大・五臓などを配当し、最終的に阿弥陀仏名号は胎金両部の理智万徳が具わった真言であり、称名行は三密行の一つとされる。


【所収】仏全七〇、続浄一五


【執筆者:藤仲孝司】