福田衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
ふくでんね/福田衣
袈裟の異名。袈裟の条相は、田の畔に模した田相の形をしているところからいう。「袈裟被着偈」には、「大いなるかな解脱の服、無相福田の衣」とある。『釈浄土二蔵義』二三には袈裟の異名として福田衣・応法妙服・如法衣・糞掃衣・慚愧衣・割截衣・功徳衣を挙げ、離欲のために被着するとしている(浄全一二・二六九上)。袈裟が田相になった縁起について『釈氏要覧』上に、「仏、王舎城に住す。帝釈石窟の前に経行して、稲田の畦畔の分明なるを見て、阿難に語って言く、過去諸仏の衣相かくの如し。今よりこれに依って衣相を作れ」(正蔵五四・二六九上)とあり、「田畦は水を貯え嘉苗を生長して、以って形命を養う。法衣の田潤すに四利の水を以てすれば、その三善の苗を増して、以て法身の慧命を養うなり」(同)と福田の相を示している。
【執筆者:藤倉泰弘】