盂蘭盆
提供: 新纂浄土宗大辞典
うらぼん/盂蘭盆
仏や僧に供養を施し、功徳や利益を得る行事。盆と省略され、「お盆」の名で一般的に知られている。盂蘭盆は『盂蘭盆経』に説かれる儀式である。この経によると、目連が六神通を働かせると、亡き母が餓鬼道に堕ちていることが判明した。目連が餓鬼道に堕ちた亡母を救うための方法を釈尊に尋ねると、釈尊はその方法として、夏安居の終わる七月一五日の自恣の時に多くの僧に百味飲食を具えよと述べた。日本では、この教えによって七月や八月の特定の期間に精霊棚などを設置して、供養を行う行事を盂蘭盆と呼ぶ。この盂蘭盆の語源については従来六つの説が提唱されていた。①梵語の俗語形であるⓈullambana(倒懸。逆さづりの意)とする説。『一切経音義』三四巻に示される(正蔵五四・五三五中)。②盆器を起源とする説。『盂蘭盆経讃述』に示される(正蔵八五・五四〇上)。③Ⓢullumpana(救済の意)とする説。④古代イラン語のartavān(超自然力を宿した死者の霊魂の意と考えられる)が転訛したとする説。⑤イラン系言語のurvan(霊魂の意)とする説。⑥Ⓢpravāraṇā(自恣)から転訛したとする説。近年は研究が進み、「盂蘭」の原語をⓈodana(ご飯)とし「盂蘭盆」は「ご飯をのせた盆」の意味であるとする説が有力となっている。
【資料】『盂蘭盆経』
【参考】阿理生「盂蘭盆会の源流と盂蘭盆の原語について」(印仏研究四七—一、一九九八)
【執筆者:編集部】