無量寿経連義述文賛
提供: 新纂浄土宗大辞典
むりょうじゅきょうれんぎじゅつもんさん/無量寿経連義述文賛
三巻。新羅・憬興著。七世紀末頃の成立。『無量寿経』の注釈書。書名の『連義述文賛』は、浄影寺慧遠や元暁などの諸師の釈義を連ね、経の文意を述べて賛ずることに由来すると考えられている。したがって本書には経・論書のみならず『論語』にまで至る大量の引用がある。しかし単なる引用集ではなく、浄影寺慧遠・法位・元暁らの説が、ときに厳しく批判されている。例えば、阿弥陀仏の智は、曇鸞・浄影寺慧遠・元暁は四智とするが、憬興は、吉蔵と同じく五智とする。また十念を『弥勒所問経』の十念とする説(法位・元暁)は排されるが、一方で「十声を具する者のみが往生する」といった称名念仏の説も否定されている。本書は、浄影寺慧遠・吉蔵・元暁の注釈と並んで『無量寿経』の四大注釈の一つであり、良忠、道光などに影響を与えている。本書には法位や義寂らのように散逸して伝わらない諸家の説が多く引用されており、この点でも貴重な資料である。
【所収】正蔵三七
【執筆者:山中行雄】