無量寿経大意
提供: 新纂浄土宗大辞典
むりょうじゅきょうたいい/無量寿経大意
一巻。道光撰。成立年は不明。法然『無量寿経釈』に説かれる『無量寿経』の大意の説示を承けつつ、自身の『無量寿経』に対する見解を説述したもの。経の大意として、釈尊と弥陀の二尊の出世の本懐は浄土教を説くことにあることを強調し、経の序分の「如来無尽の大悲をもって、三界を矜哀す。所以に世に出興して…恵むに真実の利をもってす」(聖典一・二一八/浄全一・三)の文や、流通分の「一念大利無上功徳」(聖典一・二八四/浄全一・三五)の文等を釈尊穢土出世の本懐の経証として、また「乃至十念若不生者」の願文を弥陀浄土出世の本懐の経証としてあげ、穢土の念仏の衆生を浄土に往生させることこそが二尊の本懐であり、これを随自の本懐とし、諸行往生を二尊随他の本懐としている。そして、安養世界が変易(菩薩が自らの悲願力によって現した)・無漏(煩悩がない)・他力・他摂の実報土にほかならないと主張する。
【所収】続浄四
【執筆者:曽田俊弘】