潮吞切紙伝法
提供: 新纂浄土宗大辞典
ちょうどんきりがみでんぼう/潮吞切紙伝法
潮吞が筆録した切紙による伝法。増上寺一二世存応から相伝した内容を記した切紙で、潮吞大切紙、「三脈口伝書」ともいう。存応の遷化数代の後に、増上寺の伝書が紛失し、歴代によって口授相承もまちまちとなった。金戒光明寺二八世潮吞は、増上寺二〇世雪念の求めに応じて、寛永一六年(一六三九)一〇月一〇日に増上寺に代々伝わる口授の覚え書きを著して増上寺に贈った。この伝法は五重に九箇条、宗脈に五箇条、円戒に三箇条・また一箇条の己証、璽書に三箇条・また一箇条の己証よりなる(「無題 秘伝書」『浄宗伝灯提耳籤』一〇・四〇ウ)。これによって感誉流の箇条伝法は増上寺を中心に伝承され、以来浄土宗の伝法の規準となった。
【資料】「無題 秘伝書」(宗宝・増上寺蔵・巻子本・伝五七)
【参考】恵谷隆戒『浄土教の新研究』(山喜房仏書林、一九七六)、越智専明『浄土宗伝法沿革』(増上寺教務部、一九六七)
【執筆者:西城宗隆】