善導の『観経疏』散善義に「一心専念弥陀名号行住坐臥不問時節久近念念不捨者是名正定之業順彼仏願故」(聖典二・二九四/浄全二・五八下)とある文の中の「順彼仏願故」の「故」の一字のこと。聖冏の『教相十八通』下に「上人は釈の故の一字を得て念仏の一行を選択す」(浄全一二・七三八上)と宗義の伝承が記されているように、法然が示した称名念仏は阿弥陀仏の本願による教えによっていることを「故の一字」をもって象徴させている。
【参照項目】➡故上人
【執筆者:服部祐淳】