一心専念
提供: 新纂浄土宗大辞典
いっしんせんねん/一心専念
心を統一し散乱させることなく一つの対象に集中すること。浄土教では、ただ一心にひたすら往生を願うこと、もしくは阿弥陀仏の名号を称えることを意味する。初見は世親『往生論』の「云何が作願する、心に常に作願し、一心に専ら畢竟じて安楽国土に生ぜんと念ず」(聖典一・三六二/浄全一・一九三)であると考えられる。ただし、一般的には善導『観経疏』散善義において、称名正行が正定業であることを説く「一心に専ら弥陀の名号を念じて行住坐臥に、時節の久近を問わず。念念に捨てざる者、これを正定の業と名づく」(聖典二・二九四/浄全二・五八下)という一文中の「一心に専ら弥陀の名号を念」ずることを指す場合が多い。
【執筆者:伊藤瑛梨】