摂凡夫願
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうぼんぶがん/摂凡夫願
摂聖人願に対し凡夫を摂する願のこと。摂聖人願と同様に聖冏が阿弥陀仏の四十八願を、その対象と内容を明らかにするために『浄土略名目図』に示した分類の一つ。四十八願を摂法身・摂浄土・摂衆生の三種としたうち、摂衆生願に摂凡夫願と摂聖人願があるとしている。摂凡夫願は、さらに摂自国願と摂他国願に分類される。そのうち摂自国願とは第一無三悪趣願、第二不更悪趣願、第三悉皆金色願、第四無有好醜願、第五宿命通願、第六天眼通願、第七天耳通願、第八他心通願、第九神境通願、第十不起想念願、第十一住正定聚願、第十五人天長寿願、第十六離諸不善願、第二十一具足諸相願、第二十七万物厳浄願、第三十八衣服随念願、第三十九常受快楽願の十七願であり、摂他国願とは第十八念仏往生願、第十九来迎引接願、第二十係念定生願、第三十三触光柔軟願、第三十四聞名得忍願、第三十五転女成男願、第三十七聞名敬愛願の七願である(願名は『浄土略名目図』による)。これらの願は凡夫に対しての願であり、摂自国とは娑婆世界での徳、摂他国とは極楽往生後の徳である。
【参照項目】➡摂聖人願、摂法身願・摂浄土願・摂衆生願、四十八願
【執筆者:服部淳一】